「はたけにだいこんが10本うわっていました。そのうち、3本ぬきました。あとは、いくつでしょう。」

先日の全校朝会で、この問題を子供たちに出しました。多くの子供たちがすぐに手を上げましたが、私は問題を3回繰り返して言い「よく考えよう」と時間を取りました。そして多くの子が「7」「7本」と答えました。

でも答えは「3つ」。「あと」とは「跡」のことだったのです。

私は、以下の様に「考え方」の例について話しました。

①引き算をすれば答えは「10-3=7(本)」だ。簡単だ。

②しかし、なぜこんなに簡単な問題を出すのだろう。

③何かあるぞ。

④そう言えば校長先生は「あとはいくつ」と言ってた。

⑤大根なら「本」というはずだ。

⑥なぜ「いくつ」と言ったのかな…。

⑦それに引き算の時は「のこりは?」「ちがいは?」と聞かれると1年生で習ったぞ。

⑧「あと」ってどういう意味かな?

⑨抜いた後の穴の「跡」かな…。すると答えは7ではなく…。

学校では様々な知識や技能を学ぶとともに、「考え方」「学び方」「解決の仕方」「表し方」等を身に付けます。即答する瞬発力も大切ですし、必要です。が、考えを深めることの楽しさや、友達と考えを出し合うことで新しい考えが生まれる面白さ等もこれからの「生きる力」として獲得すべき力です。子どもたちはすぐに答えを知りたがり、正誤にとても興味をもちますが、社会に出れば、「よく考え、正しく判断し、筋道を立ててわかりやすく表現する力」が求められます。また、間違えた時は、何がいけなかったのか考えることでより深く理解できます。

文部科学省では新しい「学習指導要領」への移行をうちだしていますが、その中で「主体的・対話的で深い学び」の実現が上げられています。これは※「…単に知識を記憶するにとどまらず、身に付けた資質・能力が様々な課題の対応に生かせることを実感できるような、学びの深まりも重要になる。」からです。

子どもが日常的に「よく考える」習慣をもつ機会をつくることが大事です。また、すぐに答えを求めずに、じっくり考えさせることも必要です。

全校朝会では最後に、「私が、なぜこの問題を出したか、考えてください。」と言って壇から降りました。

多くの児童の皆さんには、「ずるーーい」と言われましたが、「そっか」という声もちらほら。この人なにを言ってるのか?と思う時もありかな?笑 児童のみなさんごめんなさい。ぺこり。

※出典:「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」文科省