今日は令和5年度最後の登校日です。

 皆さんの中学2年と中学1年の課程も今日で修了です。 

 当たり前のことですが、皆さんの一生のうちで、中学2年と中学1年という時間は、たったの1回きりしかありません。1度過ぎ去ってしまえば、たとえ後悔することがあったとしても、2度とやり直すことはできません。できることは、ただその時間を思い出すことだけです。

 そう考えると、4月から迎える中学3年と中学2年という時間も生涯でたったの1回きり、おろそかに過ごすわけにはいかないという気持ちがしてくるのではないでしょうか。4月からの1年間を、皆さんには「今しかできないこと」に存分に時間を費やし、後に悔いを残すことがないよう過ごしてほしいと願っています。

 まず新3年生。これも生涯でたった1回きりの高校受験が控えており、一つの試練の時を迎えることになります。また、牧中の最上級生として牧中生の模範となるという務めもあります。

 先日の「3年生を送る会」と「卒業式」では、送られる3年生と送り出す皆さんの思いが一つになって、牧中生の温かい気持ちがあふれる素晴らしい会になったと思っていますが、今度は送られる側になります。来年の「3年生を送る会」と「卒業式」が感動的なものになるかどうかは、皆さんがいかに下級生の模範となり、リーダーシップを発揮して、牧中を盛り上げていけるかにかかっていると思います。がんばってください。

 そして、新2年生。中学校生活を最も楽しめる1年を迎えます。中学校の生活にも慣れ、まだ少し先の受験勉強に追われることも少なく、自分のやりたいことに思う存分取り組むことができます。また、先輩と呼んでくれる下級生ができ、夏以降は部活動や生徒会の中心として力を発揮することにもなります。3年生の背中を追いかけながら、これまでの牧中の伝統に新たな風を吹き込んで、1年生に伝えていくのが皆さんの務めです。がんばってください。

 さて、私は今、「4月から迎える中学3年と中学2年という時間は、生涯でたったの1回きりだから、後悔がないように過ごしてほしい」と話しましたが、では、この1年を後悔しないようにするためには、どんな心構えで過ごせばよいのでしょうか。

 今日は、そのヒントについてお話します。

 一昨年(令和4年)の12月に市立松戸高校の弓道部が全国大会の男子団体競技で初優勝しました。千葉県の高校弓道部の中でも初めての全国制覇でした。そして、今からちょうど1年ほど前の令和5年3月17日の朝日新聞に「市松弓道部の強さの秘密をさぐる」という記事が掲載されました。その記事の中にあった顧問の先生と選手たちの言葉が、皆さんが来年度1年をどのように過ごすしたらよいかのヒントになると思ったので、紹介します。

 まず、弓道には的を前にして足を開く「足踏み」という動作から矢を放った後の「残心」という動作まで「射法八節(しゃほうはっせつ)」と呼ばれる連続した動作の型があって、一般的にはその「射法八節」に沿った同じ弓の引き方が求められるのだそうです。

 しかし、市松の弓道部顧問の秋葉先生は「全員が同じ弓の引き方ではなくていい」と考えておられ、「射法八節」を一度身につけたら、後は自分で工夫して、自分らしい弓の引き方を追求するのが「市松流」だとして、こんなことをおっしゃっています。

 「うまくいかなかったら自分で考えて、聞いて調べて、弓道に臨むそのサイクルを通して、弓道以外のことにも自信をつけてほしい。」

 ヒントの一つ目。「みんなと同じじゃなくていい。自分で考えて、聞いて調べて、自分らしいやり方を工夫すること。そこから自信も生まれる。」皆さんもそんなふうに行動してほしいと思います。

 次に団体競技優勝メンバーの4人の選手のうち、高木選手は弓道の魅力について聞かれて、こんな回答をしています。

 「弓道には戦略がない。勝ち負けはあっても、最後は自分との戦い。そのシンプルさが魅力。」

 ヒントの二つ目。「人との競争を意識しない。自分は自分。自分の敵は自分。」怠け心が出てきたなと気づいた時に、「最後は自分との戦い」という高木選手の言葉を思い出してほしいと思います。

 そして、最後は、新聞記者から「弓道を通して成長した部分はありますか」と聞かれて、優勝メンバーの井上選手が答えた言葉です。井上選手は、成長した部分は「特にない」と答えた上で、こんな発言をしています。

 「弓道は弓道。弓を引いて矢を射るという単純な作業を究めるだけです。」

 「弓を引いて矢を射るという単純な作業を究めるだけ」って、格好いいと思いませんか。

 ヒントの三つ目。「目の前にある自分のやるべきことに無心に取り組むこと。そうすれば結果は後から付いてくる。」ということです。成績が上がらないとか、部活動で結果が出せないなど焦りを感じた時に「単純な作業を究めるだけです」という井上選手の言葉を思い出してほしいと思います。 

 以上、市松弓道部の先生と選手の言葉から、私が牧中生に贈る来年度の過ごし方についての三つのヒント。

 一つ目。みんなと同じじゃなくていい。自分で考えて、聞いて調べて、自分らしいやり方を工夫すること。そこから自信も生まれる。

 二つ目。人との競争を意識しない。自分は自分。自分の敵は自分。

 三つ目。目の前にある自分のやるべきことに無心に取り組むこと。そうすれば結果は後から付いてくる。

 このヒントを忘れずに、皆さんの4月からの生涯たった1回きりの1年間が、充実した時間になるよう願っています。