ただ今決意表明を行った各部活動の皆さん、日頃の練習や研究の成果を思う存分 発揮する時がやってきました。特に3年生にとっては、最後の夏になります。悔いを残さぬよう全力を出し切ってもらいたいと思います。

さて、皆さんに質問です。1+1の答えはなんでしょうか。小学校で習った算数では、当然2が答えになります。しかし、これを人間に当てはめて、一人+一人の答えは必ずしも二人ではないという考え方があります。会社経営の世界などで用いられる考え方で「シナジズム」と呼ばれます。日本語に訳せば「相乗効果」という意味になります。

 簡単に説明すると、一人と一人の人間が協力してある作業をしたときに、二人分以上の結果を出す場合があるということです。その理由は、二人の間で作業効率を競うことであったり、お互いを励まし合うことであったり、より効率的な作業手順を相談し合ったり、いろいろだと思います。これを部活動の場合で考えると、部員の競い合いやチームワークによる「相乗効果」で、バスケは5人、野球は9人というチーム人数の総和以上の力を出すことができれば、より勝利は近づくはずです。

 そこで、皆さんには本番での「相乗効果」高めるために、一人ひとりに「挑戦」の気持ちを持って臨んでほしいと思います。「挑戦」の単純な意味は、「戦いにいどむこと」ですが、そこには「困難な障壁を飛びこえる」という意味合いが加わっています。

 今年はアメリカのメジャーリーグで大谷翔平選手が大活躍をしていますが、皆さんはジャッキー・ロビンソンというメジャーリーガーの名前を聞いたことがあるでしょうか。今から76年前にアフリカ系のアメリカ人として初めてメジャーリーガーになった選手です。当時はアフリカ系の人々への人種差別が激しい時代だったので、遠征先で一人だけ別に宿舎を与えられたり、試合では頭を狙った危険球を投げ込まれたり、大量の脅迫状が送りつけられたりもしたそうです。しかし、彼は素晴らしいプレーと毅然とした言動で新人王やMVPを獲得して人種差別の壁を乗り越え、後進のアフリカ系選手に道を開きました。彼の背番号42番は、その功績を称え、現在メジャーリーグ全球団の欠番になっています。

 そのジャッキー・ロビンソンが残した言葉、「不可能の反対語は可能ではない。挑戦である。」という言葉を今日の皆さんに贈りたいと思います。

 もう一度言います。「不可能の反対語は可能ではない。挑戦である。」

 不可能と思われることでも、まず挑戦することが大事。その結果として、可能にできることもある。そういうことですね。

 皆さん一人ひとりの挑戦する気持ちが、本番での相乗効果となって表れ、壁を乗り切る起爆剤となることを期待しています。