「花」に思う

 新年度がスタートしました。各学年フロアの廊下に、それぞれの学年目標が掲示されています。

 1学年は「一生懸命 ~本気・協力~」

 2学年は「真摯 ~認める・励ます・磨き合う~」

 3学年は「花 ~手本・考動・自立~」

 この中で、3学年の「考動」は、自ら考えて行動するという意味の造語だと思いあたりましたが、「花」の意味がわかりかねたので尋ねてみると、中学校生活最後の1年に集大成の 花を咲かせるという比喩(ひゆ)であるとのことでした。

 どの学年もそれぞれの目標に達成に向けて、日々努めてほしいと思います。

 そういえば、日本語には「花」を比喩的に使った慣用句がいろいろあります。毎日校舎内を巡回しながら3学年の「花」を見る度に、思い浮かぶ慣用句が一つ、また一つと増えていきます。一花咲かせる、花を持たせる、花より団子、両手に花、花も実もある、花に嵐、花と散る・・・。

 話は変わりますが、4月24日に全校でスポーツテストを実施しました。雲間から明るい陽光が差しこむ空の下、穏やかな春の風に吹かれながら、グラウンドで行われた50メートル走とハンドボール投げに笑顔で取り組む生徒たちを見ていたら、平和のありがたさをしみじみ感じました。上空にサイルや砲弾が飛ぶことはありません。銃声や爆発音が聞こえることもありません。街中に破壊された建物や戦車の残骸を目にすることもありません。

 1年前の「まきびと」でも「世界の平和、牧中の平和」と題してウクライナの戦争に触れましたが、依然として戦火は止む気配がありません。アフリカのスーダン国内でも新たな武力衝突が起きています。()の国々の子どもたちの毎日を思えば痛ましいかぎりです。

 「花はどこへ行った(Where Have All the Flowers Gone?)」というアメリカのフォークソングがあります。1960年代、ベトナム戦争を背景に反戦歌として世界中に広がり、今も歌い継がれている名曲です。

 歌詞を日本語訳で要約するとこんな感じです。

 花はどこに行った?娘たちが摘んでいった。娘たちはどこに行った?夫に嫁いでいった。夫たちはどこに行った?兵隊になった。兵隊たちはどこに行った?みんな墓場にいってしまった。墓場はどこに行った?そこあるのは花ばかり。いつになったらわかるのだろう。

 スポーツテストの様子を見ながら、3学年の「花」にこの歌が重なりました。

 平和を守るためには、暴力の否定、寛容、自他の尊重、話し合い、協調などを大切に考える心が必要です。生徒のみなさんが、これらを大切に考えられるようになることが牧中の平和に、そして世界の平和につながります。

 「花はどこへ行った」。生徒のみなさんもぜひ一度聴いてみてください。