「自ずから」と「自ら」

 

 林間学園がスタートします。みなさんにとっては牧中入学後、初めての宿泊行事になります。まずは仲間たちと寝食(しんしょく)を共にするこの行事を大いに楽しんでほしいと思います。

 林間学園の最も大きな意義は、「教室では学べないことを学ぶ」ことにあると思いますが、それについては、学校ホームページに「教室を飛び出して」というタイトルで、昨年のしおりに載せた文章がアップされていますので、それを読んでみてください。

 さて、今回の旅のスローガンは「感謝・感動~メリハリつけて仲間とENJOY!~」です。このスローガンについて、私が感じたことを書きたいと思います。

 まずは質問。タイトルの「自」を読み分けられるでしょうか?

 正解は「おのずから」と「みずから」です。「自ずから」は「自然に」、「自ら」は「自分で」という意味です。

 改めてスローガンを見てみましょう。「感謝・感動」は、ある体験をとおして人の心に「自ずから(自然に)」湧き上がる感情です。困っている時に助けてくれた人には自然に感謝の気持ちが生まれますよね。そういうことです。一方、「メリハリつけて仲間とENJOY」は「自ら(自分で)」行動することが必要になります。

 「自ら」メリハリつけて行動し、仲間とENJOYする空間と時間を作り出すことで、「自ずから」周囲の人や環境への感謝の思いや今この時を過ごす感動が生まれる。それがみなさんの林間学園です。

 今回訪れる会津若松は、幕末・明治の戊辰戦争で最後まで幕府方として戦い抜いた気骨(きこつ)あふれる士風(しふう)を今も受け継ぐ城下町です。江戸の昔、会津藩士(はんし)の子どもたちが必ず守らなければならない「(じゅう)(おきて)」というきまりがありました。その中の最後にある「ならぬことはならぬものです。」という一節は現代にあっても有名です。「ダメなものダメ!」ということですね。

 「什の掟」は子どもたちが大人たちから与えられたものですが、みなさんは、時と場所に応じて「ならぬこと」は何かを「自ら」が考え、「ならぬものです」と「自ら」判断して行動する。ここが「メリハリつけて」には肝心(かんじん)なところだと思います。

 この林間学園が、みなさん全員の力で「感謝・感動」が「自ずから」生まれるすばらしい旅となることを祈っています。