「日本型学校教育」点描

 先日、千葉大学教職大学院の公開講座に参加しました。午前9時から午後4時半までの5本立ての講座で、正直なところ途中睡魔に襲われる場面もありましたが、現代の教育課題への取組について、得るものが多い1日になりました。

 その中で、大きく時間を割いて行われた講義は、令和3年1月に出された中教審答申の内容に関する具体的な取組についてでした。詳細は省きますが、答申の標題は、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」で、メディアでも、この「令和の日本型学校教育」という文言はすいぶんクローズアップされて伝えられました。

 肝心なのは「令和の」というところなのですが、そこはちょっと脇に置いて、今更ながら、なるほどと再認識させられたのは、「日本型学校教育」の中身です。一言でいってしまえば、「知・徳・体を一体的に育む全人教育」ということになりますが、答申で読んだ時よりも改めて人の発した言葉で聞くほうが、こちらの理解もぐっと血の通ったものになるから不思議です。

 本校の教育目標は「たしかな学力、たくましい心と身体」です。まさに知・徳・体を養うことに他なりません。字面ではお堅いばかりの「日本型学校教育」ですが、本校の先生方が日々取り組んでいるあれやこれやが思い出されて、「うちの学校もがんばってるよなぁ」と胸がジーンと熱くなってくるような気持ちになりました。

 話は変わりますが、数日前にテレビの報道番組で、この「日本型学校教育」が海外で注目されているというレポートを見ました。ことに「知・徳・体」の「徳」を育てるカリキュラムを学校教育に取り入れる国々が出てきているのだそうです。番組では、エジプトの学校が日本の「特別活動」(学級会、清掃、委員会活動など)を「TOKKATSU(トッカツ)」と名づけてカリキュラム化し、子供たちの規範意識や公共心の向上に効果を上げていると紹介されていました。

 ひと頃よく耳にした「教育再生(・・)」や「教育の立て直し(・・・・)」といった言葉に悔しさを感じていただけに、これまでの日本の教育は死んでもいないし、崩れ落ちてもいないと()の国の取組に勇気づけられる思いがしました。この「教育国ニッポン」(今や揺らいでいるところもありますが)としての発信が、国際社会の中で日本が確固たる地位を築けるかどうかのカギになるのではないかと思いますが、それはまた別の機会に。

 最後に、先月1学年で実施した校外学習の振り返りレポートが各教室前の廊下に掲示してあります。班別行動中の自らの役割を顧みて、班長であれば「班員がいるかどうかの確認を含め、周りを見て行動できた」とか、保健係であれば「班の人に『体調大丈夫?』と声をあまりかけられなかった」とか、プラス・マイナス両面の自己評価や感想が記されています。いずれにしても、学年としての目標や班内での自分の役割、校外での公共マナーなどに照らして自らの行動を振り返る内容がほとんどです。

 こうした学習積み重ねが、「日本型学校教育」の「徳」の部分を層の厚いものにしているのだろうと思いながら、一人ひとりのレポートを読みました。

 本校の教育目標は来年度も「たしかな学力、たくましい心と身体」としたいと思います。