2024.3.22(金)「春の野に出てもの思う」(春休みのしおり巻頭)
春の野に出てもの思う
世の中の新年は1月に始まりますが、学校の新年は4月に明けるような気がします。それはもちろん、新たな学年が始まるからです。そう考えれば、春休みは中学生にとって年末年始の休みということになりましょう。そして、年末年始と言えば、過ぎた1年を振り返りつつ、来る1年の計を立てるのがふさわしい過ごし方ということになります。
そこで、この春休みには新学年の目標を考えることを校長先生からの宿題とします。
「1年の計は元旦にあり」を実行して、すでに今年の目標を立ててしまった模範的な牧中生もいると思いますが、そこはせっかくの春休みなので、以下のとおり季節らしいやり方で、目標の再検討をしてください。
宿題をやり方はこうです。
まず、春らしい天気のよい日を選んで、一人で外に出かけます。家族に行き先を伝えるのをお忘れなく。徒歩でも自転車でも構いません。気持ちのよい場所(「21世紀の森と広場」とか江戸川の土手とか)を選んで、腰を下ろして(寝ころがるのも可)、「さて、新学年で自分が目指すところは・・・」と、しばしもの思いにふける(少なくとも30分くらい)。この時にスマホの画面を見るのは禁止です。
そうすると、今現在の気持ち、過去の思い出や将来の自分、いろいろな思いが胸に浮かんでくると思います。その中から、新学年での「今しかできないこと」、「今やるべきこと」をすくい取れれば、宿題は完了です。仮にそれをすくい取ることができなくても、それはそれでよいでしょう。春の野で一人もの思いにふけるというところが、この宿題の肝心なところなので。
有名な石川啄木の短歌にこんなのがあります。
不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心
これは啄木が中学生の頃を思い出して詠んだ短歌です。意味は、ふるさと岩手県の盛岡城(不来方城ともいう)の草の上に寝ころんでいたら、広い青空に自分のいろいろな思いが吸い上げられるように 感じられた十五歳のあの頃、といったところです。
春の1日、みなさんにも同じ中学生としてこんな気持ちを味わってもらえたらうれしいです。また新学期、元気に会いましょう。