今日から2学期が始まりますが、依然として真夏のような暑さが続いています。

今日は、この後避難訓練が予定されていますが、熱中症対策として、グラウンドに避難した後の時間をできるだけ短くしようということで、毎回恒例の校長先生の話はカットすることにしました。しかし、防災に関係したことで、一つだけみなさんに話したいことがあるので、聞いてください。

 今日、9月1日は「防災の日」です。では、なぜ9月1日を「防災の日」としたのか、その理由を知っているでしょうか?

 実は数日前のニュースで、防災に関して日本赤十字社が実施したアンケート調査の結果が報道されていました。それによると、10代から70代の男女1200人に「防災の日」の理由を知っているか質問したところ、約半数の49.2%の人が「知らない」と答えたそうです。20代では56%、30代では69%がその理由を知らなかったということで、私としてはちょっとショックでした。これではいけないと思いました。そして、牧中生は全員が「防災の日」の理由を知っているべきだと考え、始業式で話そうと思っていた内容を変更して、ここですることにしました。

 なぜ9月1日が「防災の日」なのかの理由は、知っている人には当たり前過ぎますが、今からちょうど100年前の1923年(大正12年)の9月1日に「関東大震災」が起きたからです。そして、それを忘れないためです。牧中生は全員が答えられるようにしておいてください。

「関東大震災」の規模や被害の状況について、今は詳しく話している時間がありませんが、この大地震の経験が、その後の日本の町づくりや地震対策の基礎となっていることは確かなことで、日本人全員が共有するべき知識だと思っています。

 そもそも「関東大震災」に限らず、日本という国に暮らす者なら、誰もが必ず知っておくべき日本人の体験というものがあると思っています。「日本の歴史」と言い換えてもいいのかもしれませんが、もっと生々しいその時を生きた日本人のリアルな体験として全員が知っておくべき出来事です。

 新しくは、2011年の「東日本大震災」です。あの時、日本人全員が津波の恐ろしさ、日頃の防災対策の大切さを再認識しました。そして、同時に起きた福島第一原発の事故によって、人間のコントロールを失った原子力の危険性を目の当たりにしました。地震と津波、原発事故によって多くの人が命や住む家や町を失いました。

 古いところでは、今から78年前の1945年に、広島・長崎への原爆投下とともに日本中を焼け野原にして終わった「太平洋戦争」です。310万人の犠牲者を出して、日本は平和主義国家として、国の姿を大きく変えて再出発しました。

 これらの日本国としての、日本人としての重大な体験の教訓や反省の上に、今の私たちが存在し、生きる国や社会があるのです。だからこそ、全員が知らなければならないし、忘れてはならないことなのです。そして、私たち大人には、みなさんにそういう過去を語り伝えなければならない責任があると思っています。それが、同じような犠牲者を再び生むことなく、よりよい未来を築くために不可欠なことだと考えるからです。

 牧中のみなさんには、今の日本の国や日本人の在り方にとって、重大な意味を持つ過去の出来事を「知らない」で済ませる大人になってほしくはありません。みなさんにも過去を知り、未来に語り伝える責任があることを忘れないでほしいと思います。

 以上で、私の話は終わりですが、4月の避難訓練で話した「福田村事件」を描いた映画が今日から公開されています。テラスモールや柏駅前の映画館でも上映していますので、ぜひ見てみてください。

 では、2学期も朗らかに牧中生活を楽しみましょう。