(8) 子和清水 (こわしみず)

(1) 『母馬が番して呑ます清水かな』  小林一茶

小林一茶(こばやしいっさ)は、晩年、馬橋・流山を第2の故郷(こきょう)として度々おとずれたため、多くの遺作(いさく)があります。 
子和清水を詠ったこの句は、文政(ぶんせい)2年、一茶が57歳の時のものです。
この句で馬が登場するように、かつてこのあたり一帯は、小金牧という幕府の御用牧場でありました。常盤平さくら通りの八柱入口付近に「金ヶ作役所」(陣屋)がありましたのでこの辺りを「陣屋前」と呼んだそうです。
昭和30年代にはまだ、豊富な水を湛えていました。
現在は枯渇してしまいましたが、井戸水をくみ上げ(井戸深さ80m)周辺が整備されています。

(2) 伝説

 

むかし、この近くに酒好きな老人が住んでいました。
老人は貧しい暮らしなのに、外から帰るときには、酒に酔っていました。
息子が不思議に思い父のあとをつけてみると、父はこんこんと湧き出る泉を手ですくって、さもうまそうに「ああうまい酒だ」といって飲んでいました。
父のさったあと子が飲んでみると、ただの清水でした。
この話を聞いた人々が「親は古酒、子は清水」というようになりました。
各地にある「子和清水」や「古和清水」などはこうした伝説による泉です。