1945年(昭和20年)6月23日は、太平洋戦争末期、おびただしい数の住民を巻き込んだ地上戦が繰り広げられた沖縄で、組織的な戦いが終わったとされていることから、沖縄県では、この日を「慰霊の日」と定めています。
 沖縄戦では、日米双方で20万人以上の方が犠牲となり、このうち住民の犠牲は約9万4000人にも上り、実に県民の4人に1人が亡くなったと言われています。
 今年は、太平洋戦争(第二次世界大戦)終結から75年の節目となる日ですが、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、沖縄全戦没者追悼式は規模を縮小しての開催となりました。また、各地の慰霊祭も中止に追い込まれる形となりました。
 今朝の毎日新聞の記事に、「沖縄戦語る家族「いない」52%に~高2アンケ~」がありました。沖縄県内の高校2年生を対象に実施したアンケートによれば、沖縄戦を語る家族や親族がいない生徒が52%と調査開始以来、初めて半数を超えたそうです。
 私も、中学校で社会科を教えていた時に、「戦後」といった時に、何の戦争を指すのかすらわからない人や日本がアメリカと戦争をしていたことすら知らないことに驚かされたことがたびたびありました。
 今日の「慰霊の日」の沖縄全戦没者追悼式で、沖縄県立首里高校3年の高良 朱香音(たから あかね)さんが、平和の詩「あなたがあの時」朗読しました。
 「あなたがあの時 あの人を助けてくれたおかげで 私は今 ここにいる」。
 今、新型コロナウイルスと共存しながら、誰もが暮らしやすい社会をどう創っていくのか、様々な立場への理解が求められています。
 ぜひ、松二っこのみなさんも、75年前を振り返り、戦争の悲惨さ平和の尊さについてご家族と一緒に話し合ってみてください。そして、今、目の前に直面している新型コロナウイルスと共存しながら、みんなが手を取り合って、共に生きていくためにはどうあるべきなのかを考えるきっかけにしてほしいと思います。

あなたがあの時
沖縄県立首里高校3年 高良朱香音
「懐中電灯を消してください」
一つ、また一つ光が消えていく
真っ暗になったその場所は
まだ昼間だというのに
あまりにも暗い
少し湿った空気を感じながら
私はあの時を想像する

あなたがまだ一人で歩けなかったあの時
あなたの兄は人を殺すことを習った
あなたの姉は学校へ行けなくなった

あなたが走れるようになったあの時
あなたが駆け回るはずだった野原は
真っ赤っか 友だちなんて誰もいない

あなたが青春を奪われたあの時
あなたはもうボロボロ
家族もいない 食べ物もない
ただ真っ暗なこの壕の中で
あなたの見た光は、幻となって消えた。

「はい、ではつけていいですよ」
一つ、また一つ光が増えていく
照らされたその場所は
もう真っ暗ではないというのに
あまりにも暗い
体中にじんわりとかく汗を感じながら
私はあの時を想像する

あなたが声を上げて泣かなかったあの時
あなたの母はあなたを殺さずに済んだ
あなたは生き延びた

あなたが少女に白旗を持たせたあの時
彼女は真っ直ぐに旗を掲げた
少女は助かった
ありがとう

あなたがあの時
あの人を助けてくれたおかげで
私は今 ここにいる

あなたがあの時
前を見続けてくれたおかげで
この島は今 ここにある

あなたがあの時
勇気を振り絞って語ってくれたおかげで
私たちは 知った
永遠に解かれることのない戦争の呪いを
決して失われてはいけない平和の尊さを
ありがとう

「頭、気をつけてね」
外の光が私を包む
真っ暗闇のあの中で
あなたが見つめた希望の光
私は消さない 消させない
梅雨晴れの午後の光を感じながら
私は平和な世界を創造する

あなたがあの時
私を見つめたまっすぐな視線
未来に向けた穏やかな横顔を
私は忘れない
平和を求める仲間として